池袋周辺でホームレス支援をしている団体「てのはし」の支援者のブログを良く見に行きます。非常に複雑な問題、しかも公的な役所すらお手上げの分野での努力に、ただただ頭が下がるばかりです。
現在のトピックは(ホームレスと呼ばれる人たちの間には、多くの精神疾患者が見受けられる。現在の社会の目は失職してホームレスになった人たちにばかりに向けられるが、家庭や福祉からはじきだされてホームレスとなった精神疾患者については黙殺されている)ということから実際の体験を通したさまざまな考察が語られています。
(現在のトピック)ホームレスと障害者
http://www.asahi-net.or.jp/~kg8h-stu/homless&shougai.htm
この「てのはし」での調査の一部が毎日新聞で発表され、その記事では(毎日新聞(9月2日版)、ホームレスと呼ばれている人の半数以上がなんらかの精神疾患をかかえており、「路上生活者と精神疾患に関する全国規模の調査を行い、実態を把握する必要がある。」と結ばれています。
後日、その同じ記者が、「記者のひとりごと」(10月6日)という欄に、記事は「路上生活者の6割は精神疾患」と書いた記事に賛否複雑な反応がよせられ困惑したことがかかれています。
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20091006ddlk13070270000c.html
私には、記事への賛否反応こそがまさしく現在の「ホームレス問題」の問題だと思います。
精神障害の子を抱えた親が「親が死んだ後、この子の面倒は誰がみるのだろうか」と不安にかられるのはよくわかります。障害を抱えた子を巻き添えにした無理心中の記事も後を絶ちません。そして、少なからずの保護者を亡くした、あるいは手に余って家庭から放逐された精神障害者が路上生活者になっているのも現実です。毎日新聞の記事は、先天的或いは後天的な精神疾患が原因で<将来を悲観され、悲観されたとおりに>ホームレスになった人々が非常に多いことを取り上げたわけです。
ただし、世間と政府の目は健常者にもわかりやすい(一歩間違えれば自分達もなる)「ホームレスは借金や失職して路上生活を送る」ので「職業訓練、あるいは借金整理」を柱とした救済を行なっています。こうした、世間の目が集まっている、あるいは世間から認知された「ホームレス」と「ホームレス救済」に、突如としてホームレスの6割は精神疾患者という報告が割り込んでくると、公的支援を頼るホームレス自身もホームレス支援者から(そんなこと言うとせっかく社会復帰の道が見えてきだしたホームレスが職業的無能あるいは白い目で見られるからやめてくれ)という複雑な思いにかられるわけです。それはそれで理解できます。
ホームレスは非常に難しい問題です。毎日新聞記者の市川明代さんの困惑は決してひとごとではありまえせん。健常者が精神疾患者を<見えない振り>ぜず正面から向かい合うこと、福祉のネットから漏れた精神疾患者をどう守るか、「考える」必要性をつきつけられています。
ホームレスは自己責任ではありません。
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2009年10月31日
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