現代的意味の大本営発表とは、「(前略)損害の過少発表が目立ちはじめ、不適切な言い換えがまかり通るようになり、甚だしくは勝敗が正反対の発表すら恒常的に行ったことから、現在では「内容を全く信用できない虚飾的・詐欺的な公式発表」の代名詞になっている。」(出典:ウィキペディア)です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9C%AC%E5%96%B6%E7%99%BA%E8%A1%A8
敗戦まぎわ、本土空襲も多く大本営発表に疑いをもった人たちもいましたが、大多数はなんとなく信じ込んだまま敗戦を迎えました。疑問をもっても、もし発表がおかしいと発言すれば、良くて非国民扱い、悪くてスパイ容疑で逮捕ということはわかりきっていますから黙っているしかありません。大本営発表を信じ込んで思考を停止するのが便利な方法だったのですが、結果的に敗戦の日に「裏切られた」思いを持つしかありません。
情報そのものが他に無かった戦時中に比べ、現在の調査捕鯨問題は、この「氾濫する情報」の海を上手に泳げる人がいかに少ないかということをあぶりだしていす。情報量が多くなれば、比較検討・取捨選択の余地も広がり、ものごとを多面的に考えることができる…、というのは幻想でしかありません。実に多くのひとは情報そのものをシャットアウトすることで情報の海に溺れるのを免れ、浮き輪のような「自分にいちばん都合の良い情報」だけを後生大事にします。事実であるなしに係わりなく大本営発表が時の為政者によって「いちばん都合の良い情報」であったことを考えると、個人個人が「私の大本営発表」を信じる時代になったともいえます。「自分にいちばん都合の良い情報」のぬるま湯に浸かった人たちの敗戦の日、裏切られた思いはどこに帰るのでしょうか?
捕鯨について、このコラムをお勧めします。少なくとも大本営発表だけで十分とは考えない方には、おすすめします。「調査捕鯨は即刻中止すべし」(日本の評判を落とし、農林水産省と反捕鯨団体の懐を潤すだけ)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2417
捕鯨に疑問を持つ人たちを、戦時中のように非国民やスパイなどと考える人はいないと思いますが、大本営発表は間違いであったと最後の最後になって気づくとしたら、…特に、情報の海の中にいながら…本人にとって残念なことだと思います。
次の世代が、「戦時中の大本営発表と違い、なぜ、あれほどの情報社会でありながら、ひとつの見方に固執する人たちがいたのだろうか?」という研究をするでしょう。
時代がテクニック優先となり「多面的に内面的に考える」ことが失われる危機感が、「ゆとり教育」という教育方針をつくりました。しかし、方針は「ゆとり=ダラダラする」と誤解され、またテクニック重視の教育に戻ります。理科ばなれと同根ですが、科学的にものごとを見つめる目が理解されないかぎり、情報の海から取捨選択した答えをみつける必要性には目を向けられないでしょう。
1941年12月8日に第一回大本営発表で英米への戦争が報じられました。緒戦の勝利で目晦ましされましたが、この時、既に日本の敗戦はきまっていました。そして、敗戦最後の大本営発表は下のとおりです。14日にはポツダム宣言受け入れを連合国側に表明しており、国民向けの報告が15日です(だから資料によっては日本の敗戦は8月14日というものもある)。そんな日に、空母2隻と巡洋艦2隻を大破炎上させたという大本営発表の信憑性など何もありません。
大本營發表(昭和二十年八月十四日十時三十分)
我航空部隊は八月十三日午後鹿島灘東方二十五浬に於て航空母艦四隻を基幹とする敵機動部隊の一群を捕捉攻撃し航空母艦及巡洋艦各二隻を大破炎上せしめたり
戦時中にはっきり敗戦を認識した人は非国民と呼ばれました。では、戦後、非国民と呼ばれた人たちはどうなったか?負けを認めない(認める勇気のない)多くの人たちから、非国民がいたせいで負けたと言われました。
捕鯨問題も既に結果はきまっています。
戦後処理「人々は大本営発表にどう騙されたか」。国内の捕鯨派も反捕鯨派も、どちらにとっても、もう一つの勇気が必要です。既に捕鯨論後の心のケアを論じるときが来ていると思います。
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2010年01月11日
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中国発捕鯨批判/捕鯨ニッポン、ヤクザ並に豪州を恫喝/鯨肉教育
Excerpt: 本日は捕鯨関連ニュースクリッピングとブログのご紹介ですニャ~   ◇中国から見た公海捕鯨 【日本の「沖ノ鳥島」整備に中国反発、ネットでは「日本が平和を侵害」】(1/19,サーチナ) ..
Weblog: クジラ・クリッピング
Tracked: 2010-01-21 02:13
反反捕鯨プロパガンダが日本の社会に与えたダメージって、想像以上に大きい気がしますね・・。
戦後処理、「後遺症」を引きずる人がたくさん出てくるかも(--;
リンク先も読ませて頂きました。
調査捕鯨、沿岸小規模の捕鯨… どの部分に重きを置き、譲歩するべきか、もっと議論しあえることが大切ですね。
>情報そのものが他に無かった戦時中に比べ、現在の調査捕鯨問題は、この「氾濫する情報」の海を上手に泳げる人がいかに少ないかということをあぶりだしていす。情報量が多くなれば、比較検討・取捨選択の余地も広がり、ものごとを多面的に考えることができる…、というのは幻想でしかありません
このくだりは実に的確に表現なさっていると思います。戦時中の情報操作と人々のショック…。たしかに通じる所があると思いました。
戦後処理のとき、反反捕鯨陣は「勝ち組」「負け組」に分かれるでしょうけど、今の反反捕鯨の人たちを見ると、状況を認める勇気のない「勝ち組」が多そうですね。
勝ち組はそのままいじけて封建主義(鎖国、外国船打ち払い令、渡海禁止、それに身分の固定化、職業の世襲化とか)に合流して(もう重なっているけど)、そのまま環黄海商圏や大東亜共栄圏もどきといったビジネスチャンスに真っ向から反対して、他人まで自滅に巻き込む可能性大です。
政府のソフトランディング・キャンペーンがなければ自爆回避は相当に難しいです(政府自体が「勝ち組」になる可能性だってあるし)。
どうして、ああまでして自滅の道を選びたがるのだろう。なにか深い業があるに違いない。彼らの好きな自己責任なんでしょうけど。
まずは正しいデータを出し合うところが一歩だと思います。
国内の捕鯨反対の方々の多くは理論的にデータを集めて検証をされ、個々の意見を持っているように見受けます。突拍子もない人もいないわけではありませんが、それなりにオリジナリティが垣間見えます。データは毎年更新され、論の幅は豊かになっています。
でも、反反捕鯨の人たちの多くは「誰かの言うことを右から左に」だけで、オリジナリティがなくて私にとって、もはや「聞き飽きた」「つまんない」というレベルです。反反捕鯨でも、「おおお!これは突拍子もないが、非常に斬新なアイデアだ」というようなものが出てこないか期待しているのですが、なかなか彼らには難しいようですね。
反反捕鯨は、「反捕鯨に反対する」というのが命題なのであって、決して捕鯨推進派ではありません。だから、反捕鯨があるかぎり反対して、議論にはならないでしょう。レッテル貼りは好きではありませんが、大雑把に捕鯨推進派と反捕鯨派は議論の余地がありますが、「反反捕鯨派及び反反反捕鯨派(SSとか)」は誰が何と言っても聞く耳がありません。反反捕鯨の人たちは、捕鯨推進の人たちの見えざる足かせです(同時に反捕鯨の人たちにとって、反反反捕鯨派も)。
斬新なアイデアを生み出さない土壌から、「反反捕鯨は伝統(伝言ゲーム)である」というのが、私の今日の標語(笑)です。
http://suisantaikoku.cocolog-nifty.com/genyounissi/2010/01/janjan-no-3f7e.html?cid=41301870#comment-41301870
kkneko氏の「鯨肉は環境負荷最悪の食材」などという吹聴は完全に根拠の無い妄言だという事が科学的ソースによって証明された事を示しましたところ、氏は一切の反論を諦められたようです。
YAHOO掲示板等、公共のBBSで反論する事もしない、と
捕鯨船団の空調・冷凍設備に関するLCAについてもナニやらゴネておられたようですが、それらは基本畜産飼料海運船舶に於いても同様であります。
飼料運搬船舶に於けるそれを畜肉生産LCAに加えようとはなさいませんのに、捕鯨船団のそれのみに「鯨研は数字を出せ!!」と息巻いておられます様子を見た時点で気付かなければいけない事ではありますが・・・w
ここは、何故か?本文でもデザインでもなんでも、リアクションにズレがあるのでアップしたり削除したりしても、すぐには反応しないです(笑)
3回も同じコメントが来てましたので2つは削除してますよ、気合はいりまくりですね。
>kkneko氏の「鯨肉は環境負荷最悪の食材」などという吹聴は完全に根拠の無い妄言だという事が科学
うーん、直接本人のブログに書けば?わざわざ、こんなことを言いに来る(しかも誰にも同じ文面でばら撒く)、内容以前に、そのしみったれさにがっかりです。
私はkknekoさんの精力的なブログ、積極的に調べられる姿勢、どれをとっても脱帽で尊敬に値すると思っています。
…とはいえ、私は世界的?にも有名な世知辛さ爆発の百戦錬磨のアラブ社会で揉まれに揉まれ何十年も暮らしているのです。情報を多角的に検討した結果の自分の判断だけしか信じていません。何が正しくて何が間違っているのか、誰かの言うことを鵜呑みにしません…というのが、まさしく、この「もうひとつの捕鯨問題」のテーマなんです…けどねえ。
非常に、テーマのサンプルになるコメントですが、記事の本文を読んでないのがバレバレです。次は読んでね(はあと)。
件の人物は市民新聞記事に100回を超えるスパム投稿をして編集部にご迷惑をおかけしたのですが、うちのリンク集のブロガーさんにまで手当たり次第に迷惑を振りまいておりまして・・
一切無視してください。
いえいえ、全然気にしないで下さい。どこから突っ込んでいいのか、満載のあまりうれしくなったメールでした。
ご連絡ありがとうございます。
残念ですが、kkneko氏は今になっても私のコメントに対して具体的な反論が出来てらっしゃいません♪
それからnaoki様、kkneko氏のブログは氏が反論できないものは載せていただけません・・・
http://suisantaikoku.cocolog-nifty.com/genyounissi/2010/01/janjan-no-3f7e.html
尤も、つくばの研究所によって日本の牛肉生産に於けるLCAが南極捕鯨でのそれを遥かに上回る事が科学的事実として示されている以上、カメ氏に反論する余地は残っておりませんが・・・
過去JANJANニュース記事コメント欄で今回と同様の指摘をした時もJANJAN運営に私の投稿を削除させてなかった事にされてしまいましたからw
その件に関しては魚拓を残しておりますので後は御自由に判断されてください♪