ところで「日本標準職業分類」というのは何だろう。
これは総務省統計局という部署でつくられています。この部署は、国勢調査を行なうことで一般的に知られていますが、国勢調査等で得た生のデータを、わかりやすくいろいろな統計に変えて国民に知らせてます。
つまり国勢調査のデータは取りっぱなしじゃなくて、こんなふうに統計をとってるんですよ…というわけです。で、統計をとるために毎回バラバラの定義づけではまずいので、統計基準というのを作りました。(以下、青字は引用です)
統計法に基づく統計基準
統計基準とは、統計法第2条第9項で規定されている、公的統計の作成に際し、その統一性又は総合性を確保するための技術的な基準であり、現在、日本標準産業分類、日本標準職業分類及び 疾病、傷害及び死因分類(厚生労働省サイト) が統計基準として設定されています。
引用元。http://www.stat.go.jp/index/seido/kijun.htm
ということで、これは統計上の基準であるという位置づけが明確にされています。そして、日本標準職業分類とは?
日本標準職業分類(平成21年12月改定)
日本標準職業分類は、統計を職業別に表示する場合における標準分類として、個人が従事している仕事の類似性に着目して区分し、それを体系的に分類しているものです。
こちらも統計上の分類であることが明記されています。どうして、こういう職業分類に基準を設けないといけないかというと、読み込むとわかります。一言で<個人が従事している仕事の類似性に着目して区分>しなければ、訳わからなくなってしまうからです。
つまり、新聞配達をしている人が「xx新聞で働いている」ということで、「自分はジャーナリストだ」と職業欄に書いてしまうと、厖大なジャーナリストがいることになって実態にそぐわなくなってしまうからです。同様に、新聞配達のある人は、「移動販売従事者」と書くかもしれませんし、ある人は「宅配業」「印刷業従事者」「情報産業従事者」と書くかもしれません。そこで日本標準職業分類の意義として「日本標準職業分類(以下「職業分類」という。)は、個人が従事している仕事の類似性に着目して職業を区分し、それを体系的に分類したものであって、公的統計を職業別に表示する場合の統計基準である。」
http://www.stat.go.jp/index/seido/shokgyou/pdf/kok_h21.pdf
という分類の意義につながるわけです。
しつこいようですが、新聞配達人の例のとおり、統計をとる際に同一の仕事がバラバラに計上されないように設定された基準がこの日本標準職業分類です。この統計上の分類にないものが、「職業でない」「無職である」ということに繋がらないのは、この分類の目的と意義で述べられているとおりです。単に、職業分類にいれてないというだけです。
おなじようにこの分類名を職業欄を書く必要もありません、というか、書いてはいけません。「999 分類不能の職業」って職業欄に書く人がいると思いますか?分類名と職業名は別物です
たしかに面白い統計基準で、自分の職業を振り返ってみるにはいいものです。しかし、たかだか、統計上の分類分けであり、分類から職業名を推察するのも難しいものも多いです。これは、エアロビインストラクターの例で、以前に紹介したとおりです。
ここまで書くと、この基準では主婦が職業に含まれないときいても、ふーん、別にこんな基準に含まれてなくてもどうでもいいや…と気が軽くなると思います。そのとおりです。統計では、統計としてどう扱うかということだけを考えていますから、本人の職業欄とは無縁です。
つづく
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2010年01月13日
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