何べんもこの記事を書こうかと迷ったけど、やっぱり書かざるを得ません。この大嘘な「ムスリムフレンドリー認定」。
ムスリムと仲良くなろうよ、ここ(これ)はムスリムに配慮しています、、というのがムスリムフレンドリーという意味と理解していました。とても素晴らしいことですが、ここに来てそういった広範囲なムスリムフレンドリーではなく、「ムスリムフレンドリー認定」なる大嘘に騙されて認定商売でビジネスチャンスを広げようという動きがあります。
ここでは、広義のムスリムフレンドリーではなく、認定商売について書きます。
まずは、このマーク。日本アジアハラール協会という団体の認証だそうです。残念ながらこの団体にアラビア語がわかるひとが一人としていないのは一目瞭然。おそらくイスラーム知識もほとんどないはずです。ムスリム諸国の外国人でムスリムだからって、だれもがイスラームに詳しいわけではないです。それは日本人の仏教徒がみんな仏教に詳しいか?といわれれば、そうでもないのと一緒です。
イスラームにおいてアラビア語の優位性は認められていて、よくあるハラールマークも然りですが、アラビア語が書かれています。しかしながら、この「ムスリムフレンドリー」のロゴの文字はアラビア語ではありません、パキスタンのウルドゥー語です。これだったら、まだ英語だけのほうが百倍ましだったのに。
しかも、それすら誤字が幾つか含まれています。「ムスリムフレンドリー」とすら読めません。おそらくアラビア語がわからないパキスタン人が適当にアラビア語に似せて作ったものでしょう。例えば最初のMの上のシャクル(表音補助記号)がいきなりタンウィーン化しています。これは誤字で、例えば「か」の濁音として「が」はあり、文字として点が2つ追加されています。しかし「か」の拗音、つまり「か」の点のうえに「。(丸)」がつく日本語は存在しません。こういう間違いを幾つか平気でしているということです。たった二文字なのにです。
しかもムスリムフレンドリーの意訳ではなく、音訳。ここもあり得ないところです。おそらくアラビア語に翻訳できなかったのでしょう。中国語で「コンピューター」を音訳せず、「電脳」と意訳しているのと同じように、こういう用語はアラビア語の意訳がふつうなのです。
イスラームに馴染みの無い人にはわからないかもしれませんが、アラビア語の素養がなくてイスラームに詳しいということはありえません。世界中、すべてのムスリムは日に5度行う礼拝もアラビア語だけしか使えないほど、アラビア語が徹底しているのに、いきなり、それも一番大事なロゴマークが「ウルドゥー語」で、しかも、正しく発音できない「誤字」となっているのは認定商売としても詐欺としても超素人ということです。
この認証が意味するものは、
「本製品はまがい物である」
という意思表示です。だれでもそう考えるでしょう、どんなものでも「Made in England」と英語で書くところを、「Mendo enn Ingurando」とローマ字(しかも誤字)で書いてあれば、これで英国製だと思う人は皆無です。
疑問があるのでムスリムが入手して良いかどうかの判断が欲しい状況で、あからさまなまがい物表記があればだれが近寄るでしょうか?しつこいけど、これはロゴマークだし、単純な書き間違いでもないのは一目瞭然。
しかもMuslim Friendlyなる語も概念もイスラームにはありません。ためしに、Muslim Friendlyという語で検索するとヒットするのは日本ばかりです。世界には「ハラール」か「ハラールでないか」という2つの基準しかありません。もっと正確にいうと「ハラール」と「ハラーム」の間にはそれらをふくめて5つの分類別けがあります。マクブール(受け入れられる)というのがMuslim Friendlyに近いのですが、それは認証するようなものではありません。5段階評価でいうと最高のHalalが5だとすると、Maqbulは3です。
ムスリムフレンドリー認定で、ビジネスの拡大?鳥なき里の蝙蝠の日本ならともかく、輸出しようとするものなら、まず嘲笑を甘んじなくてはなりません。正真正銘のHalalつまり5がうようよしている市場に、何が悲しくて「3」レベルのステッカーを張って、さらに誰もしらないMuslim Friendly??? をさも誇らしげにつけてしまっては、あやしいウルドゥー語のロゴマークで市場から「パキスタン製のコピー商品」認定です。
世界には通用しない(、、というか誰も聞いたことがない)ムスリムフレンドリー認定などでビジネスチャンスなどありえません。マーケティングの基礎は泥臭い市場調査からです。試しにムスリムフレンドリーのシールの貼ってある食べ物を、実際にムスリム諸国に持っていき、街角で実際に食べてもらおうとすると私の書いたことが一目瞭然です。3秒で認証商売もおしまいです。
確固たる気概があれば、わざわざ誰も知らないムスリムフレンドリー認定取得など不要です。弱気になっているところに認定商売がつけいるのだろうと目の前にくり広げられる光景を見て思います。そもそもフレンドリーさを誰が認定しようというのでしょう?フレンドリーさというものは認定される範疇のものではないし、ステッカーが張ってあるからよしとするものでもないでしょう。フレンドリーさとは意思を問うものです。
オリンピックもあるし、日本でイスラームが知られ、ムスリムと日本にいる人たちが友達になるチャンスが増えるといいですね。世界ではイスラム国問題などで、イスラームに対するネガティブなキャンペーンが盛んなのでこころが傷んでました。認定商売でない、ムスリムフレンドリーは大歓迎です。
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2014年11月11日
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"Muslim friendly"? What is "friendly"?(Nov 13, 2014)
Excerpt: 現在日本では、何かにつけてハラール(Halal)認証を取得するために活動してる人達が結構いる。 目的としては、ムスリムの人達に対する売り込み強化ってがあるようだが・・・。 『ムスリム・フレンド..
Weblog: flagburner\'s blog(仮)
Tracked: 2014-11-13 20:12
JISの定義としては存在したりします。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%82%9C
イスラム教徒にとって、それがイスラム教徒によって考えられたか、イスラム教徒がどれだけ関わっているのかが彼らの意識の中で非常に大事である。
例えばイスラム教徒になる前、マレーシアのある土産屋でコーランを置く木の台に触ろうとしたら「あなたはイスラム教徒か?」と聞かれた。イスラム教徒でないと触ることすら許されない、彼らの“イスラムか非イスラムか”という意識の強さに驚いた。
それだけにこの日本のブームに、イスラム教徒からすると?マークを付けたくなる、あるいは(誰かきちんとしたイスラム教徒に監修を受けずに独自の発想でやっているな)と思わされるものが多すぎることに気づく。
ハラルかハラルじゃないか、日本に住むイスラム教徒にとっても大きな問題だ。海外にハラルの某カレーチェーン店を作るなら、まず国内に住むイスラム教徒向けに作って欲しい。国内ではもっぱら外食を極力控えるか、インド料理の店で「ここはハラルかハラルじゃないか」を確認してから入店しているのに。
海外から来るイスラム教徒ってどれだけハラルを気にしているのか?そもそも日本がイスラム教徒に優しい国ではないのは知っているはず。もしイスラムの意識が強いイスラム教徒なら、行きたい海外の国はサウジアラビアか、他のイスラム教徒の割合が多い国だと思う。なぜなら自分達も食事に困ることを身をもって知っているからだ。そんなイスラム教徒が日本に来ることは、目的が食事ではないと思うのだ。それにそんなにハラルに慎重なイスラム教徒でもないとも思う(ハラルは守りたいが、ハラルマークが無いとダメという訳ではない)。
しかも日本人が見落としがちなのが、外国に来てその国の食べ物を積極的に食べようとするのは、イスラム圏ではあまりないということだ。自国の食べ物、自国に近い食べ物に強いこだわりがあり、新しい食べ物(特に見たことのない食材)に手をつけようとしない。なので日本に来たからって日本食を強く勧めず、インド料理とか彼らの親しめる料理を提供してあげて欲しい。
むろんそこにハラルかハラルでないかの確認は必要だが、ハラルマークは必須ではない。だったら食品の成分が示された方が安心できる(国内に住むイスラム教徒にとっても役立つ)。
今の日本はハラル認証取得にやっきになって、日本に住むイスラム教徒の存在を忘れている。国内のイスラム教徒向けにどれだけのサービスを展開しているか、その評判が良ければより多くのイスラム教徒が心から「日本に来たい」と思うだろう。
そのためには上辺だけでなく、日本社会全体で多様さを理解し、受け止め、例えば介護施設で働くインドネシアのイスラム教徒にもヒジャブを許容して欲しい。そういった体制ができていないのに、目先のことをイスラム教徒が関わってない中で進めてもイスラム教徒は信用しないだろう。
更新が滞りがちで、コメントを読むのが遅れてしまいすみません。
Fatimaさんのコメントに全く同意です。
ムスリムフレンドリーは、景気回復の内需拡大が進まず、ムスリム諸国をターゲットとした経済活動ですし、東京オリンピック開催条件不備の対策でもあります。経済にしろオリンピックにしろ、その、どこにも「言われたからやる」「儲かるからやる」ということで、ムスリムの視点が欠けてるのが本当に頭痛の種です。ムスリムフレンドリーというムーブメント自体はもろ手を挙げて賛成だし、私も力になれることがあればお手伝いしたいのはやまやまですけど、カネもうけの手先にされるのはごめんですね。
このハラールマークは、日本アジアハラール協会のマークであり日本ハラール協会のマークとは異なります。
また、Jakimが国内で唯一協力関係にあるのは、日本ムスリム協会と日本ハラール協会のみです。
それ以外は全て怪しい団体だとJakimのスピーカーが仰っておりました。
ムスリム協会事務所には前に帰国したときに遊びに寄りました。理事から、ハラール商法の話は聞いてたのですが、実際に目の当りにすると絶句です。