The Redang Telegraph

2016年12月10日

「もったいない」の大嘘

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マレーシアの都市交通(地下鉄やモノレール)に切符はありません。トークンと呼ばれるICチップ内蔵のプラスチックコインを使います。別に行先が書いてるわけじゃないし、金額もかいてないし、ふつーのプラスチック円盤です。自動販売機から出てきたのを入るときはかざして、出るときはコイン入れのところに入れて回収されるだけ。

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シンガポールは強化紙の切符で何回も使える。チケットをみると、最初にチケット代10セント取られて、3回目で払い戻し、6回しか使えませんが6回目で10セント割引になります。もちろん、マレーシアもシンガポールにも、日本のスイカやパスモと同様のカードはあるし、定期券もあります。

それを考えると、日本の切符は発行されれば1回切りしか使えないし、回収されたあとただのゴミ。あまりにも、もったいなさすぎるけど、恐るべき日本は「もったいない大国」ということで世界に発信しようとしました。が、「日本はものを大切にする国と思い込んでるのは日本人だけ」という事実に直面していまやあんまりもったいないということは流行りませんが、いまだもって日本人の中には「もったいないという言葉があるのは日本人だけ」という意味不明な妄信をしている人は限りなくいます。あたりまえで、外国語に翻訳するのに完全にあてはまる訳がないなんて普通。もちろん外国にも「ものを大切にしよう」という類の言葉は山ほどある。

日本の食料食品の破棄は世界トップレベル。野菜が見た目が悪いというだけで捨てられるところから、コンビニの弁当のソースが蓋にべっちゃりついているというだけで捨てられる。もちろん、ファーストフードの食品は時間がきたら自動的に捨てられる。賞味期限至上主義で、まだ食べられるものを捨ててしまう。回転寿司は350m経ったら破棄。お客様に美味しく食べてもらう、、という美名のもとに破棄破棄破棄。こうして日本は食品の破棄率は世界トップレベル。みんな捨ててしまうのだ。

別に最初にあげた使い捨て切符に限らず、食品に限らず、日本はなんでも捨てる。断捨離というのがあって、ともかく捨てるのが偉いのだ。私はこの10月に新しいカメラを買ったけど、それは6年前のカメラを落下させて蓋が開いてしまったのを修理にだしたら断られたということに起因しています。しかも、その壊れたカメラの蓋を自分で力技で押し込んだら動いたというおまけつき。いまや、日本では修理するより買いなおすしかないものが多過ぎる。電化製品なんてほとんど修理より買い直しだと思う。

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いま使っているバイクの手袋はもう3年目。雨風に打たれて傷みははげしい。特にベルクロの隣の布地は常に引っ張られて裂け気味。で、もう3−4回、繕いもの屋さんにだして、裏から布を当てて補強を繰り返している。日本だったら、まず、こういう繕いものをしてくれるところもないし、まあ手袋だから買いなおそうかという人がほとんどだと思う。サウジから日本に帰った時、服の詰めや仕立て直しを頼んだら、新品を買うよりお金がかかってしまった。こういう服の仕立て直しはもう高級品に限るわけだね。安物は仕立て直しするのは無理。

こうして、日本から修理修繕して長く使う、もったいない、という考えはとっくに消えている(というか、修理修繕できるテクニックを持った人がもういない)。以前の「外国向けもったいないブーム」の時は風呂敷を使う!というのがあったらしいけど、日常的に風呂敷を使っている人がどれだけいるのだろう。世界ではレジ袋を禁止する方向にあるけど、日本のコンビニなんて普通にレジ袋がある。エコ袋を常時携帯しているサラリーマンは少ないと思う。

なにから、なにまで使い捨ての日本。使い捨ては日本の現代文化の代表なのだけど、それがどう間違って「もったいない文化の日本」になるのだろう。むしろ海外先進国のほうが、<もったいない>をわざわざ言うまでもなく、<もったいない>を空気のように実践しているのではないだろうか。

日本のように使い捨てや、意味不明なほどものを大事にしない国もあるけど、だいたいそういうところは発展途上国。<もったいない=貧乏>という反動からものを大事にしないことが一流のステータスと感じている、遅れた国の遅れた発想なのだけど、日本もたいして違わない。

日本のもったいないを語るのに、江戸時代のリサイクル率や、誰も使わない風呂敷やガラス瓶などをもちだすところが、すでに欺瞞だし、日本はいまやなんでも、考えずに言われたままを信じる文化になっているのを実感します。

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