映画「戦場にかける橋」は私にとって、非常に意味のある映画です。そこで描かれている日本人はアメリカ映画というフィルターを通して、非常に興味深い日本人像を写していました。興味深いのは、、日本人所長が、開通式のある天長節までに
この工事が終わらないと私は腹を切って死ななければならない
、、というところ、、
納期に間に合わなければ死んで責任を取らなければならない。
。。。これがいまから何十年も前のアメリカ人の見た日本人。納期に間に合わすためには、人の死などかまってはいられない、Death Railwayとまで名前をつけれられた鉄道は、納期のため、プロジェクト完遂のため、人の死などを省みもせず、「枕木一本、人ひとり」という人命軽視で建設がすすめられました。
おそらく捕虜収容所所長さんには悪意があって人を死に追いやったという自覚はないでしょう。戦後70年たっても、現実の日本の労働環境にほとんど違いがないのは残念としかいいようがありません。そして、多くの現実の「捕虜収容所所長」が会社にいて、人々を過労死、過労自殺に追いやっています。が、人命軽視の風潮はとどまるところを知らず、「労働時間」でしか過労を計れず、この時間内であれば頑張れるはずだ、、といった論調も少なくありません。
映画「戦場にかける橋」で監督が描きたかった日本人、、、「労働観、責任、死の軽視」というキーワードは、卓見だと思います。今でも十分にキーワードを考える必要があるでしょう。

映画を知っていて、その着眼が非常に的を得たものだと思っているので、本物の「戦場にかける橋」がどのようなものか非常に興味があるところです。あの映画を戦争映画、また所長と捕虜との奇妙な交流、アクションもの、、といった範疇でしかとらえられてないのは、、残念です。「人命軽視」こそが主題です。
●