最近立て続けにマレーシアの人から「どうして何年も住んでるのにマレーシア語ができないの?」と訊かれました。「マレーシア語は簡単だよ。出稼ぎのネパール人だって、バングラデシュ人だって、ミャンマー人だって、数か月でマレーシア語を覚えるのに」というのが後につづくのは、だいたい皆同じです。
私の答えはいつも、「だって、私の周囲はみんな英語話してるし、英語で問題ないでしょ」
じゃあ、マレーシア語しかできない人との会話はどうするの?さすがに、私はマレーシア語ができないといっても単語単位で知っているマレーシア語もあるから、そこらへんはなんとでもなる。だいたい人が何人かいれば一人ぐらい英語がわかる人がいる。
それでも、山奥で英語がわかる人が一人もいないようなところだったら?ああ、そこまでくると村のモスクのイマームのところに行ってアラビア語で話するから。イマームならまず間違いなくアラビア語はわかるはず。そもそも、マレーシアの小学校は2部制になっていることが多く、ムスリムだと空いた時間は宗教学校に行くのがポピュラーで、そこではアラビア語の授業があります。だから、勉強熱心な子だとある程度アラビア語を話せるようになるし、そうでなくても基本的なアラビア語語彙を知っている人は多い。
昔、ドイツ駐在の日本人で駐在が終わるまで全くドイツ語を覚えなかった人がいて、ドイツ人から「何あいつ」と思われたという話を聞いたことがあります。マレーシアでも似たようなこと?いえ、ドイツで英語は外国語ですが、マレーシアでは英語も国語の一つです。外国語じゃありません。
だから、バイオリンの音楽理論のテストも英語だし、口頭試験も英語だし、カメラの取説も英語しか箱に入ってなかったし、学校でもマレーシア語と英語は必須授業だし、、ともかくなんでもちょっとマシなことをしようと思えば英語しかなかったりする。そういえば会社の決算とかも英語だけだった(サウジではアラビア語が正で、英語は翻訳版として正規のものとは認められなかった)。
それぐらい、マレーシア人にとって英語は重要なこと。マレーシアでマレーシア語しかできないという人がいれば、高等教育は受けられないし、就職のチャンスは激減する。それは何も私が言うまでもなく、マレーシア人自体が骨身に染みてわかっていること。格差社会というか、階層の固定化というか、英語ができるかできないかで、マレーシアでの社会的な身分も変わってしまいます。
だから私は積極的にマレーシア語を勉強する気になれないのか?というと、そうなのだ、、と答えるしかないのでしょうね。実際勉強してないし。何年も住んでいて、それでいいのか?と訊かれたら、「うるさい、これで上手くやってるんだ。おまえに関係ないだろう、余計なお世話だ」と答えること請け合いです。
もっと言いたいことは一杯あるけど、こんなかんじ。なかなか、奥が深い話題です。
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