他の8人はスナンなになに(聖なになに)と呼ばれているのに、Maulanaなになに(なになに猊下)と呼ばれている、Malik Ibrahimさん。マウナラはアラビア語(でも語源はペルシャ語かもしれない)で、翻訳するときは猊下です。ローマ法王猊下とかと同じ。ただし、猊下はマウライで、<語尾のナは=私達の意味>なので、「我らが猊下」と訳するといいのなもしれないけど、インド亜大陸(ウルドゥ語とか)ではすでにマウラナで猊下と一体化済み。おそらくジャワのマウラナはインド亜大陸と同じ使い方だと思う。
マリクイブラヒムのお墓は、グレシックにあり、マウラナ某と言わない場合、スナングレシックとも呼ばれています。このお墓の場所は、彼が布教に努めた場所に起因しているみたい。
ところで、ワリソンゴ9人、、チームメンバーの序列があります。3位以下はともかく、、、
1位 スナン・アンペル (だいたい、、チームのキャプテン)
2位 マウラナ・マリク・イブラヒム(だいたい、、チームの長老、相談役、顧問)
、、ほぼ固定だけど1位と2位が入れ替わることも多し。どうして、スナンアンペルが1位なのかというと、彼がドゥマ王国のラーデン・パタハの師となってジャワ島初のイスラーム国家が誕生した、、という故事によります。だから間違いやすいけど、ワリソンゴ以前からイスラームはジャワ島に伝わってた、、ということ。ワリソンゴの要点は、、一部民衆のあやしい宗教だったイスラームを、国家護持レベルまで高めて権威と正当性を与えたところにあります。、、ふむふむ、じゃあ、2位のマリクイブラヒム猊下は?スナンアンペルのお父さんです。
ワリソンゴ9人のうち、マリク・イブラヒムの血縁が6人。
キャプテンのスナンアンペルは長男。でもって、スナナンペルの息子2人は、スナンボナンとスナンドラジャト。つまり孫2人もチーム入り。
スナンギリは兄(マウラナ・イスハク)の子供だから甥。スナンムリアは、スナンギリの娘がお母さん(だから、マリクイブラヒムの甥の孫)。でもって、マリクイブラヒムはペルシャ生まれというのが定説なので、この6人は純然たるジャワ人とは言い難く、外来者だからこそ因習にとらわれず活躍できたともいえます。
こういうことで、マリクイブラヒムは大変尊敬されている、、かというと、19世紀までお墓が見つからず伝説上の人物としてワリソンゴ入りしていなかった!そういう意味では、兄弟のイスハクがチーム入りを未だ持って果たして無いのが気になるところ。まあいいや、ワリソンゴって伝説や創作の賜物と思ってたけど、わりと実存主義だったんだね。
さて、マリクイブラヒム猊下のお廟。でかい、、おそらくワリソンゴ最大の敷地面積で、一体が、マウラナマリクイブラヒム記念公園として整備されていて、本人のお墓(と、想定されるもの)の他に、でかい堂宇がいくつか。マリクイブラヒムは寄宿制イスラム学校(プサントレン)の創始者という伝承もあります。だから、こういった堂宇はお弟子さんたちのものかな?
ちなみに大きな会館もあるし、マリクイブラヒム祭りというのも彼の誕生日に合わせてあるらしい。お墓はシンプル。たぶん、これがお墓なんだろうという推定であるらしい、、
ジャワ文字の乱舞する、墓苑で、歩くだけで気持ちいい。とっても整備されています。
そして、ここでは、、マリクイブラヒムの顔出しTシャツがありません。なんと。それが楽しみなのに、、近くのスナンギリのTシャツが売られてた。
たぶん、彼のプサントレン派閥から、「顔出しは辞めようや」という意見がでたんだと思います。ワリソンゴとっても一枚岩じゃなくて、各スナンには、それぞれのプサントレンがあって、その派閥ごとにカラーがあって、例えばTシャツ顔出しOKかNGか?とかもそれぞれなんだと思う。
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