The Redang Telegraph

2020年09月28日

Kanji 江戸時代の識字率というのは基本、かなが書けるという程度。漢字教育が明治時代以降の試練だった。

 江戸時代の識字率が当時の世界平均からみると極めて高い!というのは聞いたことがあると思います。
でも、この識字には、基本漢字は含みません、、っていうのは、かなだけで文章が全部かけるからです。当時の庶民の学校であった寺子屋などでは、かなだけを習うのではなく漢字ももちろん習うのですが、数はそれほど多くありません。

 これに対して、当時の官僚、、たとえば奉行所の与力とかの書く報告書とかは漢字づくし。素読できたえた暗記力と漢字能力が教養の中心で、ともかくきちんとした漢字をいっぱいかけるほど偉い!とされていたので、庶民の仮名ベースの日本語力とは全然違います。漢字がいっぱいかけるということは、学習する時間をかけるということと同じこと、それにそれが許されるほどの経済力があるということ。

 こんなかんじで明治時代にはいると、、学制ができ国民がみんな小学校にいかなければならないようになったけど、いきなり庶民が漢字をバリバリかけるようにはなりません。四民平等とはいえ、学力で格差が生まれて、それが固定化されている江戸時代(、、うむ、令和が違うとはいいきれない)を引きずったままです。

 身分制度がなくなっても、学力差が格差社会をつくれば身分制度廃止など意味のないこと、、と考えた人の中から、「漢字自体、なくしてしまえ!ぜんぶ、仮名だ!」とか、「ローマ字にしてしまえ!かなも、漢字も、無しで四民が一から勝負だ!」という意見がでてきました。まあ、そういうこともあるかもしれません。福沢諭吉のように「まあまあ、漢字を全部無くすのも大変だから1000文字ぐらいにしては?」という折衷案もでてきて百花繚乱なのですが、学力エリート(学閥、門閥)が政治を占めているわけなので、自分の地位を脅かす門戸開放にはいい気がしません。

 ああだの、こうだの、いいながら学力格差をかかえながら明治、大正、昭和となり敗戦。
いろいろあったけど、こういう敗戦になったのは、社会格差が原因だった、、という総括になりました。226事件とか515事件とかの大義名分は、社会格差に対する蜂起みたいなことだったけど、当時のエリートは格差にはガン無視だったしね。

 敗戦になって、民主主義、、つまり、格差社会はあってはいけない!というスローガンで、またもや「日本語ローマ字化!」とかが再燃。つまり、そんだけ学力差=漢字識字差がひどくて、明治維新で変われなかった負の遺産としてダラダラとエリート好みに解釈されてきたということ。エリートは「俺様は学力がある!」というのが存在意義だもん、底辺がエリートに食い込む歯止めとして学力を見えざる障壁として使いたいところ。しかし、、敗戦。エリートの負けです。ご庶民の国としてバカにしていたアメリカに負けたのだし。漢字全廃論の勝利まであとわずか。

 それでも、「漢字全廃はやむなし。でも、いっきに漢字を無くしては読み書きにも困るので、必要最小限だけとりあえず使ってもいいとしない?」という折衷案がでて、まあ、それでもいいか、、とみんな思いました。そうしてできたのが「当用漢字表」。当用とは、「当面の間、これを使うますから、でも、永久じゃないですよ。当面ですからね、ちゃんと当用って書いてあります」としました、、、使用許可の漢字は2000字足らず。漢字が5万個あるというのですから、もう一気に領土喪失。漢字の敗北感が強いです。しかたありません、エリートの「閥」の解体です。民主主義なので、庶民もエリートに食い込ませなければなりません。

 しかし、ここからエリートの巻き返し。当用の文字を消して、漢字帝国の復活。日本国憲法が当用漢字で構成されていることを盾に、憲法は国民全員が読めなければいけない、、だから、漢字が必要なのだ!と憲法を盾に漢字の必要性を連呼。そうして昭和56年に「常用漢字表」制定。つまり、当面のあいだ使うからね、、といってたのが、常用!常に使うからね!になって、当用漢字表は廃止。字数は100字ぐらい増えました。

 そうして、平成22年の常用漢字の改正。前文を見る限り「まえの常用漢字は廃止しました。でも、新たな漢字表の名前を作ると、また五月蠅く言う人もでてくるというので、名前は引き継いで改定常用漢字ということにしようね」ということです。文字数は200字ぐらい増えました。まあ、これは漢字をつかう「目安」ということで、これ以外の漢字をつかってもいいけど、公官庁の公の文書はこれを守らないといけないよ、、ということです。

 現在、新聞ではだいたい4000字ぐらいの漢字が使われているそうです。だから、常用漢字の倍か、、。常用漢字は常に使うというけど、常用漢字の中には、滅多に見ることもない(もちろん使いもしない)漢字があります。が、日本国憲法に使われているかぎり削れません。日本の漢字は高校卒業レベルでは日本国憲法が全て読めなければならない!という前提があるからです。

 そういうことで、どれほど日本国憲法というのが重要視されてきたか!というこが分かります。今はすごくないがしろにされているけれど、世界中憲法というのはどこも「国是」で、「その国がある」という論理的証拠です。日本でも公務員は日本国憲法の順守を誓わないとなれません。。。が、本当にそういうもんだろうか?とか思う近頃です。

 常用漢字の数が2000字あまり。新聞で使われている漢字が4000字ぐらい。たぶん、これから常用漢字を増やせ!という議論もあると思うけれど、なにも増やす必要はないです。常用漢字表にない漢字を使いたければつかっても構わないってはっきり書いてあるのだから使えばいいのであって、この漢字が常用漢字表に入っているか入ってないか気にすることはないです。

 常用漢字は、江戸時代の漢字の正典、康熙字典の5万字弱、明治の「言海」が収録語数4万語、、、格差社会の是正のために削って、削って、削って、ようやく2000字あまりになったもので、民主主義の成果ともいえます。もちろん、5万字弱を全部書けといっても、もはや書ける人はほとんどいない世の中だけど、もう、増やしてはいけないと思う。無制限に増やすより、高校卒業までにはこれだけ覚えましょう!といって2000字余りをだされるほうが、漢字を覚える気になるし、モチベーション的にはいいと思う。

 ちなみに、常用漢字をすべて書くのは漢字検定2級です。合格率は21.4%です。私もこのブログで書いてますが、ジェッダ日本人学校でおこなわれた漢字検定2級(海外試験場は基本最上級は2級まで)を何度も受けてます。合格してまた翌年同じ級をうけるのだけど、毎年1か月ぐらいかけて勉強しなおさないと、前の年に合格したから、今年も合格するだろう、、なんてことはないです。

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