子供と言っても、いったい何歳のこと?
もう、こどもといって一括りにするのは、ほんとーーに困る、、こいうことは、これまでに何回か書きました。
子供と言っても、ほんとーに小さいとき、つまり3歳から6歳ぐらいまでのことで言うと、早期教育とかで外国語を習わせるのは、そうとうに疑問だと思ってます。、、といっても、全部がダメと言うわけじゃないのだけど、、
どういう人がバイリンガル早期教育が「しかたないよね」思うかと言うと、父母で母語が違って父母の共通語に支障がある人、外国に住んでいて父母の母語がその外国でないけれど、本人はその外国での生活になじまないといけないとき。
子供の日本語テキストの草分け「ひろこさんのたのしい日本語」は、1980年代のインドシナ難民の受け入れのときに難儀された経験から生み出されたもので、今でも、たぶんこの本を越えるテキストはほとんどないです(それはそれで問題なんだけど)。インドシナ難民の父母は日本語を話せないけれど、子供たちは日本で生きていかないといけない!という環境ですね。
あとは、、多言語環境である場合。マレーシアのように国語(マレー語)と英語と父母の言葉、、、どれも重要、、というときは、もう小さときから多言語環境にどっぷり浸っているので、もはやクレオールのようにならざるを得ません。
たぶん、3−6歳ぐらいの子供で外国語を勉強させても良いケースはこの3つぐらい。
母語獲得が一番大事なこの時期に、これ以外のケースで外国語を勉強させても、ほっとんど意味はないです。というか、もはや悪影響しかない。たぶん教育業者とかが、広告で「国際化がうんぬん」というあおりをしているのを真に受けるからだと思いますが、もう本当に、、なんだろう?わからん世界です。
いまはインターナショナルスクールで国語を教えてますが、幸いにもこの3つのケースの子供たちばかり。でも、インター校とは別にオンライン授業をしていると、外国の小さな子供たちが日本語を勉強にきています。ここでは、3ケースの他に「ああ、こういう子供たちは外国語教育もいいかも」と思う子供たちもいます。それは、「ことばオタク」のこどもたち。この年代でも、ものすごく「恐竜が好きすぎて恐竜博士」「動物博士」「でんしゃ博士」「くるま博士」と呼べそうな子供たちはいっぱいいるけど、なかには外国語にすっごい執着のある、「外国語博士」みたいなこどももいます。こういう好きが高じてる子供たちには、早期バイリンガル教育はいいですね、、たぶん子供は教育とか思ってない、ただの好きなことしてる、、だけなんだろうけど。
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じゃあ、逆にぜったいやめた方がいい場合。極端にいうと上のケース以外はたぶんやめたほうがいい。
ぜったい!といえるのは、子供が外国語に関心が無いばあい。無理強いされて泣いてる子もいる。
この時期の子は、母語獲得に全力集中です。外国語はその後で、十分。抽象的な思考ができないダブルリミテッドになった例をいろいろ見てると、かわいそうすぎて泣けるぐらい。いわゆる「頭の良さ」といわれるものは抽象的なものごとがどれだけ処理できるかということにかかってます。「たとえ話を理解する」とかはそうだよね。抽象的な概念の理解と母語能力は一致するといわれています。
でも、中にはバイリンガル教育に執着している親もいる。
特に、両親が違う国籍・民族の子供、いわゆるハーフの子の親。家庭内の会話と生活環境の言葉が一緒だと、母語はひとつ。だから、ハーフの子供だからと言ってとりたてて外国語を覚える必要はないのだけど、「おばあちゃんと会話させたい」みたいなのがあって熱心だけど、こどもは、ハーフというだけで母語の他に外国語を強要されるのに抵抗がある場合も少なくないです。「ハーフなんだから父母の両方の言葉が話せて当然!」なんてことはない。これに傷ついてるハーフの子は、ほんとうにいっぱいいる。トラウマになってる子もいるし、かわいそうすぎる。
親が外国語ペラペラのバイリンガルの場合、こどももバイリンガルにしたい気持ちも高いみたい。これもハーフの子と一緒で、バイリンガルの子供だから、、という理由だけでは、あんまりこの時期に教育するのは、、どーかと思う。
全く必要がないのは、教育業界に踊らされる、早期教育。まーーーったく無用。やめてほしい。3−6歳は、覚えることが一杯あるし、忘れることも多い。こどもが抵抗ないのならやってもいいけど、使わない言葉って、、、すぐ忘れるよ?いいのそれで?
いや、外国語習得じゃなくて、多言語環境に親しむレベルです、、というのなら、まあ、いいけど、、、幼稚園で外国の子と遊ぶレベルのことですね。これはこれで、、意味があるとは思います。
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